【建築解説】桜の郷の家
どうもこんにちは。
建築系ライターのチカトサ(@5atochika)です。
先日、学生時代の友人のオープンハウスに行ってきました。
そこで今回は建築家が建てた住宅の解説をしていきたいと思います。
外観
協会のような真っ白なデザイン
外観のデザインは、真っ白な壁と煙突のようトップライトと、うねる屋根が特徴的で教会のような見た目です。
正面から見ると左右対称で協会のようなデザインです。
内観
狭い廊下の先に見える床の下がったリビング
廊下の先には明るいリビングが見え、さらにその先にまた廊下が続いているのがわかります。
廊下の右側には浴室やトイレといった水回りが配置されています。
床の下がった明るいリビング
廊下を抜けると約30cm程床の下がったリビングに出ます。
本来、住宅は段差がなくフラットに計画することが良しとされることが多いです。
何故なら高齢者や小さな子供が躓いたりする恐れがないためです。
しかしながら、床レベルで段差をつけることで、空間を分節する(区切る)という手法を取り入れています。
友人曰く、「フラットな床の使い勝手よりも、空間の質の良さを優先した」とのことです。
建築家のエゴと思われるかもしれませんが、よほどの自信がなければできないことですね。
仕上げ材を用いない壁
床仕上げはフローリングですが、内装材の仕上げはヒノキがむき出しとなっており、クロスなどで仕上げない状態となっています。
この写真だけ見ると、これから仕上げるのかと思われるかもしれませんが、これが完成形なのです。
友人曰く、
「通常の家は、構造計算しなくても建つため、隠されている構造等を安くして、目に見える表層を作るが、
この家では、構造計算した上で建つ国産ヒノキを用いているため、壁紙で綺麗な仕上げで作るのではなく、少ない予算の中でも、表層的ではない空間の魅力を作る」
とのこと。
外観の可愛らしいデザインとはギャップがある、とてもストイックな内部空間になっていますね。
平面プラン
平面図はとてもシンプルでわかりやすいプランになっています。
しかし実際に中を見ると少し複雑に見えるのは、
- 小さなホールが3つあること
- 段差による空間の分節
が効いているからですね。
1番のこだわりポイント
1番のポイントは、
似て非なる2つの空間、生活的な空間と排他的な空間。
とのことです。
本人曰く、
「 建築家が作る家は割とどこかで生活を犠牲にしているが、そういったことがないように2つの空間を分けている。
前半の空間は住みやすい空間で、後半は排他的な空間。建築家が作る空間と普通の空間を両立させている。」
とのこと。
写真だと少しわかりにくいですが、
生活的な空間とは、リビング・ダイニングのことで、大きな窓があり、天井も住宅の通常の高さとなっていますが、
排他的な空間(奥の広間)は、窓がほとんどなく、天井もとても高い空間となっています。
写真だと明るく見えますが、日中でもとても暗い空間になっています。
空間を作る特徴
一番こだわったポイントは先程挙げた2つの性質の異なる空間とのことですが、他にもこだわりのポイントはあります。
壁に見えるネジ
ヒノキが仕上げとして見えてくるため、それを留めているネジが見えてきます。
そのネジが綺麗に見えるように等間隔に1つ1つ手作業で職人さんに打ってもらったとのことで、そのために工期が延びたそうです。
ホール上部のトップライト
ホールは前、真ん中、後と3つあり、真ん中のホール上部にはトップライトが付いています。
本来なら3つともトップライトにする予定だったそうですが、予算の関係で真ん中のホールだけトップライトにしたとのこと。
トップライトからの採光は壁からの採光の3倍とされており、とても気持ち良い空間となります。
この大きなカーテンで空間を仕切ることで、空調を行うとのことです。
それにしてもこんなに大きなカーテンが家の中にあるのはすごいですね。笑
ロフトなのか子供部屋なのか
奥の広間の上の方に、梯子を使って登るロフトのような空間があります。
写真だと伝わりづらいですが、ここがとても広いです!
梯子で登ることで、いわゆる“ロフト”を想像して入るためなのか、この空間がとても広く感じるのです。
友人曰く、作ってみたところ思いの外広かったとのことです。
本来ロフトとは、“寝るだけ”とか“倉庫”とかで使われるのが一般的ですが、ここは十分に子供部屋として使えるほどの広さでした。
この家の中でも一番高い位置にある空間なので、もう少し大きな窓をつけて外の景色を楽しめるくらいの作りでも良いのでは?と思いました。
感想
個人的な感想としては、
「自分ならこうする。これはちょっとどうなの!?」といったところは同業者として多々ありますが、「長い間お疲れさん!」の一言に尽きますね。笑
と言うのも最初に話が持ち上がった時から、足掛け4年強かかっているんですね。
処女作としてはとても大胆なデザインを取り入れているところは、クライアントが友人(設計者)の同級生という間柄だからこそ実現できたのだと思います。
そして僕もいつか家を建てたい、、と切実に思うのでした。
まとめ
ここまで友人の処女作を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
「建築家の建てる家はとてもエゴが強く、住み手のことを考えていない」
といった印象を持っている人が多くいると思いますが、
家とはお客さんが満足すればそれで良い、というのが建築家の意見なのです。
日本を代表する建築家・安藤忠雄氏の有名な言葉に「自分の設計した家には、とてもではないが住めない」といった発言があります。
一生かけてお金を払い続けて、住み続ける家ですが、皆さんは建築家に設計を依頼したいと思いますか?
僕は思いません。笑
というわけで、今回の記事は以上です。
ぜひ、また見に来てください♪
それでは今日はこの辺で^^